川と海の境目のドキドキを歩く


2021.6.27



6月最後のリサーチは、これまでのリサーチで何度も訪れた帷子川を辿り、川が横浜港に注ぐみなとみらい橋のあたりまで歩いてみました。
これまでからだで触れてきた帷子川が、徐々に表情を変えながら広がり、海へと交わってゆくその境目をドキドキしながら歩きました。川幅が広がってゆくにつれ、少しずつからだの内側の空洞が広がってゆくような感じがしました。
川の匂いが潮の匂いに移り変わってゆくのを肌で感じたとき、泣きたいような、どこかに帰りたいような気持ちがふとやって来ました。このような気持ちになるのは、わたしの肌に、これまで触れてきた海の記憶や潮の匂いが染み込んでいるからかもしれないと感じました。
からだが今目の前にある風景に触れることで、 自分自身のからだに積み重なった記憶が引き起こされることの不思議に改めて出会いました。

この日の私のだいたいの軌跡↓

帷子川を辿って歩き、万里橋や首都高を越え、川と海の境目にある高島水際線公園でクラゲと出会い、水辺の草むらにいたタヌキと目が合い、横浜市場を通り、みなとみらい橋の上から海の風景を眺めて過ごし、高島中央公園で地元の子ども達のかくれんぼうに少し混ざり、立ち並ぶタワマンに圧倒されているうちに夕立が降ってきて帰路


【今日の私のからだで触れた風景の味わい】

◎川と海の境目のドキドキを歩く(高島水際線公園の遊歩道)

・川が徐々に海へと交わり変化をしてゆく境目のドキドキをからだで味わいながら歩く
・川幅が徐々に広がり、川の匂いに潮の匂いが混ざりあってゆくのを感じるときのからだや気分の変化を味わう

◎海の風景を丸ごとからだに映す(みなとみらい橋)

・大きな橋の真ん中から見える海の風景を、丸ごとからだに映すように立ってみる
・海風が肌や服に当たる音、遠くに見える風車や橋や船の形、曇天と混じる海面の色のグラデーション、低く飛んでゆく鵜の羽ばたき、肌に感じる潮の匂い、 そういうものをからだの色々な部分に映すように味わう

◎タワマンを引き連れて立つ(高島中央公園)

・立ち並ぶタワーマンションを背にして、タワマンを引き連れている気分で立ってみる
・ドラム、ギター、ベースのタワマンを引き連れボーカルとして立ってみる、タワマンとバンドを組んでみる

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6月は〈からだで街の風景に触れる・味わう〉をテーマにリサーチを重ねてきました。その中で、風景そのものが時代と共に変化をしながら積み重ねてきた記憶の層や、風景に残る他者のからだの記憶の一端に触れる体験をしてきました。
知らない街を歩くことで、自分のからだの輪郭が風景や他者のからだと混ざり合うようにほどけたり、逆にくっきりと濃くなるように自分のからだの固有の記憶に出会い直したりする感覚はとてもおもしろく、踊るときや短歌を詠むときの身体感覚にどこかで繋がりそうな予感がしています。

7・8月は、6月のリサーチで得たからだと風景の記憶をもとに、短歌やダンスをつくってゆきます。劇場と街、からだと言葉を行き来しながらどのような作品が生まれるか楽しみです。

涌田