屋根とビルの隙間のクレーンとのデュエット

2021.6.21


前回に引き続き、松本さんと飯塚さんの風景の味わい方や視点をわたしのからだで更に深めながら街を歩きました◎

松本さんの風景の味わいのひとつ〈手で小さな形・ポーズを作り風景の中にあるものと交信しながら歩く〉を試しはじめて、街の見え方が変化してゆくのを感じます。風景の中にあるものたちにからだで小さな挨拶をしながら歩くと、ものたちの発している形やリズムが見えたり聞こえたりするような感覚を持つようになりました。
今回は近くに見える小さなものだけでなく、遠くに見えるビルのクレーンや、川の向こうに並ぶガスタンクなど大きなものにからだ全体で挨拶をしたり、新たに〈風景の中にあるものに心を置く・映す・移す〉という味わいを発見しました。
松本さんが前回のフィードバックで言っていた「からだが街のリズムのひとつになるような感覚」とも少し重なるのですが、このように街を歩いていると、風景の中にある色々なものたちの中にわたしが分散され、からだが軽くなってゆくような、風景とからだの境目が曖昧になってゆくような感覚があります。それは短歌を詠んだり、踊ったりする時の感覚と少し似ているなと気付きました。

この日の私のだいたいの軌跡↓

STスポット周辺のビルの角に心を置いたり、駐車場に並ぶバイクの横で立ち止まったりしながら岡野町の路地裏へ、空き地の猫じゃらしの群れに心を映し、家々の隙間に見えるクレーンや川の向こうに立ち並ぶガスタンクと踊り、沼野橋周辺の帷子川沿いの道で川の音の正体にからだを澄ましながら過ごし、川を挟んで鵜と向き合いながらコンビニで買ったアイスを食べて帰路


【今日の私のからだで触れた風景の味わい】


◎風景の中にあるものに心を置く、映す、移す

・ビルの角、ビルの裏口に洗濯バサミで干されたビニール袋、空き地に揺れる猫じゃらしの群れ、風が揺らしている川面の模様、などに今ここにある心をそのまま置いたり、映したり、移したりする感覚を味わってみる
・わたしが街の風景の中に分散され、軽くなっていくような感覚がある

◎風景の中にある大きなものとデュエットする

・遠くのビルに見えるクレーンや、川の向こうに並ぶガスタンクなど、大きなものとからだ全体で挨拶をするように踊ってみる
・クレーンやガスタンクの発するものをからだで受け取り持ち帰る

◎川の音の正体にからだを澄ます、川をよく見る/よく聞く

・普段漠然と聞いている川の音が、どのように発せられているのかにからだを澄ましながら歩いてみる
・川の水が川岸のコンクリートや橋脚に当たる音、風が川面に触れ、動かされた水同士がぶつかり合う音、魚が川面を突き破り跳ねる音、魚のからだが川面に落ちる音、など川の音のひとつひとつを解き、味わってみる

◎川を挟んで鵜と向かい合う

・川岸の向こうに立つ鵜としばらく向かい合って立ってみる
・鵜の重さが腹に伝わってくるのを感じる
・鵜の喉袋が風に小さく震えていることに気づく

涌田