2100年、月で
四畳半の部屋に宇宙の風が吹く だれも泣かない夜が来るかも
ローソンのビニール袋と左手を繋いで歩く満月の道
たくさんの人と話した帰り道、ビニール傘の骨の静けさ
しあわせになりたいだけだ AEONの看板の右斜め上に月
すこし欠けた月はやさしい 飴色の滲むひかりを胸にとかした
かなしいは分け合えなくて森永のムーンライトを半分かじる
この夜の宇宙の端を鳴らしてる奥歯をこする歯ブラシの音
やだったねえ、やだったよねえ、おふとんの中でわたしを折り畳んでる
手のひらを枕の下に差し込めばひんやり触れる月の裏側
何本も押し上げ行きを見送って月へ行くにはどうしたらいい
えび天というよりちくわ天っぽいきみがすきだな、うどんを啜る
2番線のホームの鳩の背に乗って静かの海へ飛んでゆきたい
どこから来てどこへ行ってもふふふふふ芋を蒸かして月と踊ろう
月面を舐めればこれはなんだっけ、なんだったっけ、ジンジャエールか
「アポロって名前のチョコがあったんだ。」2100年、月でつぶやく