足と足のあいだに川を流す

2021.6.11

この日から、街に出る前に前回歩いた街の風景の記憶をSTスポットの空間にからだの感覚を通して持ち込むことを始めました。風景とからだの記憶から生まれた言葉が、からだを通してまた濃くなったり、全然別の場所に飛んでいったりするのがおもしろいです。


STスポット周辺の街を歩いていると、街を取り囲むように不思議な形で流れている川とそこに架かるたくさんの橋に出会います。横浜市西区には横浜港へと続く帷子川、新田間川、幸川、石崎川、帷子川分水路の5つの川が流れ、開港のために架けられた橋を含めた44もの橋が架かっているそうです。
1日目のリサーチであじさいに触れた「新田間川緑地」は明治時代の新田開発により新田間川が整備されてできた運河(材木などの商品貨物を運んでいたそう)の跡だったと知りました。私があじさいに触れていたとき、知らずに運河の底にしゃがんでいたような、不思議な気持ちになりました。
私のからだがどこかの景色に触れるとき、今触れている景色そのものだけではなく、その景色の持つ記憶の層にも同時に触れてしまっているのだなと感じます。


この日の私のだいたいの軌跡↓

駅西口の繁華街を流れる幸川に架かる南幸橋の上で鯉を見下ろし、工事現場に立ち並ぶクレーン車の真下に立ち、平沼高校前交差点角にある小さな和菓子屋さん伊勢屋でずんだまんじゅうとお稲荷さんを買い、岡野公園のベンチでおじいちゃんと女の子の吹くシャボン玉を見ながら食べ、川の向こうに大きなガスタンクの並ぶ帷子川沿いの道を歩き、沼野橋の真ん中で欄干に足を掛けて過ごし、川沿いの民家の物干し竿にかかっていた風鈴が川風に揺れる音が聞こえ、道端でうんこをしている柴犬とすれ違って帰路


【今日の私のからだで触れた風景の味わい】

◎橋の途中で立ち止まる(幸川・南幸橋)

・橋の真ん中辺りでしばらく立ち止まりじっとしてみる
・歩いているとわからなかった橋の小さな揺れを足の裏で味わう
・幸川を泳ぐ鯉のおなかが異様に膨らんでいるのに気付いた時の「ぎょっ」を胃に仕舞って持ち帰る

◎立ち並ぶクレーン車の真下に立つ(駅西口繁華街の中の工事現場)

・クレーン車を真下に立って見上げてみる
・恐竜のような背骨がゆったりと向きを変える動きの優雅な質を自分の背骨にも移してみる
・クレーン車の口から垂れるワイヤーロープが上下するときの重みをお腹に感じてみる

◎橋の欄干に足を掛けて立ち、足と足のあいだに川を流す(帷子川・沼野橋)

・橋の欄干に引っ掛けた両足の間に川が流れてゆくのをじっと見下ろして立ってみる
・からだの中身が川に流れてゆく感じ、からだが川の一部になって川と混ざり合ってゆくことを想像してみる
・からだの中身が空っぽになると感じるまで立ってみる
・空っぽになったときに残るからだ(私は皮だけになる感じがした)が風に吹かれているのを感じてみる

涌田